>Blog>読書のすすめ>プチ読書のすすめ(2024年1月)

2024年の小さな目標として、月2冊ペースで年24冊の本を読もうと決めたので、読んだ本の感想をちょっくら書くことにした。年末年始の休暇で読んでいた本もあるので、多少フライング気味ではあるが、1月は一気4冊読書した。

高校生からわかる複素解析

おすすめ度:★☆☆☆☆

変数が複素数であった場合の微分法や積分法などの複素関数を学習するための入門書。ひょんなことから、解析学に興味を持ち読んでみた。複素解析は、工学の分野で現象を解析するのに使われるので、工学系の人にとっては必須の内容らしい。”高校生からわかる”と言うだけあって、前半は高校数学の復習で、実関数の微分法や積分法を振り返り、それを複素関数で適応させていくので、割とすんなり理解できる。しかし後半から実関数にはない複素関数の性質を考えていくのだが、ここから段々と難しくなってくる。1回読んでノートにまとめただけでは理解できないので、何回か復習して理解を深める必要がありそう。とはいえ、他の複素関数の本よりはわかりやすかったので、入門書としてはいい1冊だと思う(他の本はパラっと読んだだけなのでなんとも言えないが…)。まぁ、あまりおすすめするような本ではない。

高校生からわかる複素解析

一度読んだら絶対に忘れない日本史の教科書/一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書

おすすめ度:★★★★★

今や本屋の歴史コーナーに行けば必ずある、”一度読んだら絶対に忘れない”シリーズ。日本史と世界史の2冊を読んだが、両方素晴らしい本だと思う(実は2回目の完読)。コンセプト通り、年号を使わずストーリ仕立てなので、小説かのようにすいすい読めてしまう。僕は昔、歴史に全く興味がなかったのだが、歴史を学べば学ぶほど、今自分が生きている時代がどれほど素晴らしいものかがわかるので、今は歴史が好きだ。日本史を学ぶことで、日本人としての自分のアイデンティティを持つことができ、また素直に日本って稀有な国だなぁ、と改めて実感できる。なにしろ、2000年以上他国からの侵略を受けずに独自に発展してきた国は他に類を見ない(戦後のGHQ統治を除いて)。世界史は世界史で、地球全体で俯瞰して歴史を見ることができるので面白い。世界広しと言えど、今やどこへでも簡単に行ける時代で、海外を身近に感じられる中、世界史を学ぶというのは、1つ大人の教養として持っておくといいのかもしれない。最もそれらしいことを言っているが、歴史好きの人と比べれば、歴史を語れるほどの知識はない。むしろそんな人が読むための本。Kindleでたまに半額になるときが結構あるので、読みたい人はkeepaなどのプライストラッカーに登録しておくことをおすすめする。

一度読んだら絶対に忘れない日本史の教科書

一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書

哲学と宗教全史

おすすめ度:★★★★☆

哲学と宗教の歴史についての本だが、前近代に至るまでは、もはや宗教が歴史そのものと言っても過言ではない、と個人的に思っている。歴史の背景には常に、宗教内での権力闘争、堕落と分裂の繰り返し、宗教間の対立、政治との対立、政治の宗教利用、ということがある。そのことについて、宗教の成り立ちから解説してある。特に日本に根ざしている仏教の成り立ちについて知ると面白い。仏教は、インドでバラモン教への不満からガウタマ・シッダールタが開祖し、その後上座仏教、大乗仏教に別れ、大乗仏教が中国経由で日本に伝来したのだが、日本は仏教文化が残っているのに、何故か現在インドでは仏教文化がほとんど残ってなく、仏教徒もほどんどいないようだ。哲学については、何か物事を小難しく考えて、複雑な思考を繰り返すもの?、といった漠然としたイメージを勝手に持っていた。しかし、そうではなく物だろうが概念だろうがありとあらゆるものに対して疑問や批判を投げかけ、思考を凝らし、そのものの本質・真実を突き詰めていく、ということが哲学という学問であり、その哲学から生み出された思考や概念は、自然科学へと発展し、政治思想にも使われていたことを考えると、哲学を知ることも歴史を知ることに等しい、と感じた。中国春秋時代の諸子百家なども紹介されていて面白かった。

そもそも、哲学と宗教とは似て非なるものでもある。僕がそう思った理由は、単純に神が創造主であるならば、真理を突き詰める必要はなく、世の中の多くの現象は、神がそうしたから、と説明がつくわけであって、哲学を発展させるということは、神の存在を否定しかねるのでは、と疑問に思ったからだ。こういった側面は実際にあったようだが、逆に哲学的な思想から神の存在を定義していく神学といった学問に発展することもあったようで、そのあたりは読んでいて非常に面白かった。ただ、哲学というのは言わんとしていることは何となくわかっても、なにか腑に落ちないことが多い。特に僕のような凡人にはより一層そう感じてしまう。個人的には、カントというドイツの哲学者のコペルニクス的転回の思想が面白かった。分厚いし、飽きてくることも多々あるが、総じて面白かった。

哲学と宗教全史

読書のすすめ

記事を読んでいただきありがとうございました。

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