>Blog>読書のすすめ>プチ読書のすすめ(2024年7月)

マンガで読む国防入門

著書:石破茂、原望

おすすめ度:★★★★☆

石破茂代議士が防衛庁長官退任後(2005年頃)に出版した「国防」の漫画版。Amazon Unlimitedにあったので読んでみた。この漫画は、日本の国防における問題をリアルなストーリーを通して問題提起している。テロに対する対策や近隣国からの攻撃に対して、日本の法体制が問題で、常に後手に回り、国民の生命と財産を守り抜けるのか?ということを問うている。言わば、シン・ゴジラだ。国の危機で、一刻を争う事態に陥っても、細かな自衛隊法のホワイトリストよって、即座に対応できないという、あれだ。まぁ、シン・ゴジラと一緒にしてしまうと、リアルから離れてしまうが、この漫画では、もっと現実にあり得るストーリーが描かれており、結構面白い。

周辺国の脅威に対する防衛の問題、テロに対する対策の問題、自衛隊法による不条理な制限などが難しい言葉だけではなく、漫画のストーリーの中で知ることができる。直近で石破茂さんが出ている動画でも、国防のことに関して触れており、この著書に書かれていることも話しておられた。

漫画なので少々薄っぺらいところもあるのだが、それ故、取っ付きやすく、2時間もあれば読めてしまうので良い漫画だと思う。石破さんの著書は他にもいくつかあるので、時間があれば読んでみたい。

自民党総裁選出馬にも意欲的との報道もあるが、推薦人20人を集められるかどうか、というか誰が石破さんを担ぐかが問題になるのだろうが、石破さんが出馬すれば今年の自民党総裁選は面白くなりそう。個人的には高市早苗さん押しなのだが、石破さんが総裁になったらそれはそれで嬉しい。

Bluetooth無線化講座-プロが教える基礎・開発ノウハウ・よくあるトラブルと対策-

著書:水野剛、清水芳貴、三浦淳

おすすめ度:★★★★★

今では当たり前のように利用されているBluetooth。完全ワイヤレスイヤホン、スピーカー、マウス、キーボード、スマートウェアラブルなど、僕のデスク周りはBluetoothデバイスだらけだ。仕事でも使うことがあり、ちょうどBluetoothについての本を見つけたので読んでみた。

著書の方々は、株式会社ムセンコネクトの取締役。この会社のWebサイトのブログには、Bluetoothの処理について分かりやすく書かれており、たまに読んでいた。なので、この著書の内容は、このブログ記事の内容と被るものが結構ある。ただ、ブログに書かれていない内容もあるだろうし、ブログの記事がとは違い、著書として一気通貫して読めるのでとてもいい本だと思う。

Bluetoothの周波数帯であるISMバンドや通信チャンネル、Bluetooth ClassicとBLEやバージョンの違い、セントラルとペリフェラルの役割、アドバタイズとGATT通信、といったBluetoothの基本中の基本から、通信速度や通信可能距離、コーデック、モジュール開発する上でのライセンスについてやAndroidやiOSのアプリ開発における注意点、といった開発時のノウハウまでが非常にわかりやすくまとめてある。

後、面白いのが実際の実験データなども公表してくれており、様々な環境で通信距離や通信速度、消費電流などが記載されている。環境によっては300m離れた距離で通信できたそう。まぁ、Bluetoothを使ってそこまで長距離通信するユースケースが思いつかないが、でも凄い。後、垂直方向でも実験されており、高層ビル内での実験では、18階分(高さにして約70m)の高さまで通信できたそう。

初心者でも十分読める内容で、非常に読みやすいので、とても良い著書。Bluetooth関連の本って意外と少ないので、迷ったらこの本買っとけ。

図解よくわかる 衛星測位と位置情報

著書:久保信明

おすすめ度:★★★★☆

GNSSの測位について簡単にまとめられた著書。スマホにインストールされたGoogleマップさえあれば知らない土地に行っても迷うことなく、スムーズに目的地に辿り着く。数年前は、目的地から数10mずれたところに案内されたりしたものだが、ここ数年で精度が向上し、確実に目的地に着くことができるようになった。一陸技で勉強したときは、GPSは3つの衛星での三点測位の計算、1つの生成で時刻同期で、計4機の衛星が必要で、電磁波の速度(光速30万km/s)から距離を求めるので1μsずれただけで、理論上だけでも300mずれる、といった基本的なことだけしか学んでいなかったのだが、実際にはもっと高度でもっと複雑なことをしており、様々な技術も導入されていた。

何せ誤差要因は、衛星自体の位置の精度、衛星時計の精度、対流圏(地上から10km)の影響、電離層(地上100kmから1000km)の影響、マルチパスの影響、反射波の影響、サイクルスリップなどと多岐に渡り、これらの誤差を補正しなければならない。こういった誤差を補正し、精度を向上させるために、ディファレンシャル方式、RTK方式、あいまいさを決定するFIX解(または決定しないFLOAT解)、ネットワーク型RTK方式、PPP方式、SBAS、ドップラー周波数による速度情報の利用など、様々な手法が考案され、正確な位置情報が即位されている。そういったものが自分の使っているiPhoneちゃんにも使われているのかと思うと「凄いなぁ。」、とただただ感銘を受ける。

後、「準天頂衛星みちびき」についても記述されており、結構面白かった。iPhone12(Androidは機種による)から利用できるようになり、仰角約75度以上に必ず1機は「みちびき」(現在は4機体制)がいることになり、高層ビルによるマルチパスの影響も軽減できるようだ。静止衛星は赤道上空に滞在し、地球の自転と同期して動くが、準天頂衛星である「みちびき」は、赤道に対し約40度の軌道傾斜角の軌道となり、日本列島からオーストラリア大陸にかけて八の字を描くような軌道で動き、日本上空に滞在する時間が長いらしい。「みちびき」の公式サイトにある衛星配置表示アプリ(GNSS View)をインストールすると各GNSSの衛星を追跡できるので面白い。

この著書はあくまでも要素技術をざっくりとわかりやすくまとめられたもので、その中身の詳細までは書かれていない。しかし、ざっくりでも理解するのが難しい内容(補正するための要素技術は特に…)だった。それでも、ページ数は160ページと、ささっと読める文量で(図も多い)、内容もそこそこ面白いので、この夏に大人の自由研究として読んでみると良いかもしれない。

読書のすすめ

記事を読んでいただきありがとうございました。

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