>Blog>読書のすすめ>プチ読書のすすめ(2024年9月)

日本を前に進める

著者:河野太郎

おすすめ度:★★★☆☆

自民党総裁選に出馬されている河野太郎代議士。異端児と称されることもある改革派で、現デジタル大臣。SNSで誹謗中傷するユーザーをブロックすることからブロック太郎と言われたり、マイナンバーカード関連で批判されたり、保守勢力から嫌われていたりと結構アンチが多い。私の印象は合理主義で完璧主義者という印象。故にサイコパスと言われたりもしているが、対談している動画を拝見しているとそんなことはないし、物事を大胆且つ合理的に進める国会議員が居てもいいのではないかと思う。また、この著書にも書かれているが、河野太郎さんは若かりし頃に母親を亡くし、その後も父である河野洋平さんが肝硬変に罹患した。そして、父親死なせたくないとの思いから自らドナーとなり父親に肝臓を提供された。ただ、この肝臓移植の話を美談にすると、肝臓移植しないという選択が尊重されないことから、マスコミに取り上げないよう要請するなど、命の大切さについて身をもって感じ、理解されており、思慮深い人だと思った。それと、大学生時代のアメリカでの選挙運動のお手伝いや富士ゼロックスで働いておられたときのことについて書かれているのだが、選対では優秀な助手、企業内では優秀な社員だったのだろうと思う。

書かれている政策の中で良い政策だと思ったのは、習熟度に応じた教育やデジタルを活用したプッシュ型の支援と適切な医療提供、社会保障制度の応能負担などによる世代間格差の低減、マイナンバーカードの機能拡大などなど。一方で、再エネゴリ押しは嫌いだ。阿蘇山のメガソーラーなんかを見ると本当にショックを受けるし、再エネ賦課金も腹が立つ。ソーラーパネルのために各地で山肌削りまくって森林環境税って何がしたいねん(河野さんのせいではないが…)。と、私怒っております。脱原発の主張は、将来電力需要の見通しが立たないことから、今回の自民党総裁選ではなくなったが、再エネ押しだけが引っかかる。後、再エネタスクフォースの資料の中国ロゴ問題。それに加えて日銀への利上げ要求!金融引き締めは早すぎるとの意見がよく散見されるが、私もそちらの意見の方が納得いく。為替は市場の成行きです。

何はともあれ河野太郎さんが自民党総裁になる確率はほぼなさそうだ。討論会見ていると河野太郎さんはほとんど原稿を読まず自分の言葉で話されていたし、主張もはっきりしていて、内容も論理的でわかりやすかったので優秀な方ではあるなぁ、と思った。石破茂さん、小泉進次郎さん、高市早苗さんのお三方が上位3位決定で、小泉進次郎さんが思ったほど党員票が集まらず、石破茂さんと高市早苗さんの決選投票になる可能性が高いようですな。自分は鳥取出身であるが高市早苗さん押し。選挙区が地元だから、という理由で応援するのは愚の骨頂。誰が日本を良くしてくれるか、という観点で応援すべき、と思う。仮に石破さんが自民党総裁になったら様子見てから一旦利確はほぼ決定。まぁ、とにかく石破さんも高市さんも頑張れ!話がずれたが、河野太郎さんも頑張れ!

日本を前に進める

設計から学ぶFirebase実践ガイド

著者:押野泰平、長谷川健史、岡田菜摘

おすすめ度:★★★★☆

簡単なWebアプリケーションを作りながら、Firebaseの使い方を学べる本。Firebase独特のデータ構造も含め、設計から説明されている。設計の内容も要件定義からER図まで丁寧に書かれている。ただし、Webアプリケーションのサンプルソースコードの解説はFirebaseの重要な処理部分のみで、サンプルコード全体の解説はない。サンプルコードはTypeScriptなのだが、TypeScriptを書いたことがなかったので読みづらかった。また、FirebaseのFCMメッセージについて知りたかったのだが、そこがなかったのが残念。ただ、全体的に丁寧に説明されていたのでわかりやすい本だったので満足している。Firebase関連の本は少ないのだが、公式ドキュメントが結構充実しているからそれを見て開発すれば問題ないのかもしれない。時間があればVPS契約し、Firebaseを使って開発してみようと思う。

設計から学ぶFirebase実践ガイド

マスコミ偽善者列伝 建て前を言いつのる人々

著者:加地伸行

おすすめ度:★★★★☆

マスメディアの無責任、無節操な報道、偽善者に対して物申す著書。著者の加地伸行さんは中国哲学がご専門の文学博士のようだ。この著書で初めて知った方ではあるが、著書を読む限り右寄りの方だ。必ずしもそうではないが、基本的にマスメディアやマスメディアにおもねる連中は左寄り、マスメディアに物申す連中は右寄り(近頃は中道の賢人も)というのが構図というのがお決まり。従って、この著書では主に教育、貧困・格差、マスコミ、政治家に関連する左寄りの論客をとことんぶった切っている。特に、昔からマスメディアの報道の在り方については疑問を持っていたので、結構共感することが多かった。

例えば、貧困・格差=悪という論調。まず前提として貧困・格差があるのは世界中どこの国でも当たり前にあることで、貧困のないユートピアの世界などない。たとえ国が裕福になっても相対的な貧困者が必ず発生し、格差が生まれる。しかし、貧しいが故に少しでも豊かな生活をしたいと願い、努力し奮起する人もいるし、過度に社会的援助を行うと勤労意欲がなくなり怠惰になる人もいる。また、貧困の定義もよくわからない。いつのことだか、テレビの報道で物価高により家計が苦しいと訴える一般家庭のインタビュー映像を見た。ただ、よく見ると食卓には高級感ある瓶に入ったオレンジジュースとワインがある。そして映し出される部屋から生活水準の高さが醸し出されている。更に、夫人は洒落た服を着て夕食を準備し、その夫と子供は美味しそうな料理を満足気に食べている。それでいて夫人は「食料品が高くて生活に困っています。」と言う。勿論、値上げされて喜ぶ消費者などいないし、これは個々の感想であり、夫人が咎められる理由はない。ただ、これを生活に苦しんでいる家庭のサンプルとして報道することに対して非常に違和感を感じていた。

こんな言説もある。リスクを取り努力して資産を手にした富裕層からむしり取って格差を埋めろ。しかし、そうなるとアニマル・スピリッツのある人間から努力する気概を損ね、リスクを取らなくなり、結果的に共同貧困の道へ向かうということになりかねない。それに社会援助するには稼げる人にできる限り稼いでもらってどんどん納税してもらうべき。そう考えるとある程度の貧困と格差は許容すべきではないかと思う。もちろん一定の生活水準を満たさない場合や本当の意味での社会的弱者には社会援助すべきだが、何でもかんでも貧困・格差と叫び、援助すれば良いというわけではない。と、この著書を読んでそう思った。後、最終章にある「文系の衝突から対話へーアジアの宗教から考える」の内容が非常に面白かった。一神教と多神教の価値観や生命に対する考え方、祖先に対する扱い方の違いについての説明が核心を突いていて腑に落ちた。

まぁ、時折やや右に偏り過ぎた意見では、と思うこともあるが、文学博士ということでとにかく舌鋒鋭く面白い著書であった。

マスコミ偽善者列伝 建て前を言いつのる人々

1%の努力

著者:ひろゆき

おすすめ度:★★★★★

ここ数年で一気に著名人となったひろゆきさん。合理的且つ論理的な論客であり、追従言うことなくズバズバ切り込んで論破していくので、見ている方は楽しいのだろう。ただ、そこに本質的な議論が生まれればいいものの、時折極端な例を挙げて本質からずれた議論になっていると感じることも多々ある。しかし、著名になる前からYoutubeの個人チャンネルを見ていて、結構考え方が好きだったりするのでちょっとひろゆきさんの著書を読んでみた。

この著書では、ひろゆきさんがこれまで生きてきた中で得た、満足した人生を送るための生き方、考え方、知恵などが書かれている。自分なりにまとめると、結局如何に同質化から抜け出し賢く生きるか、ということ。つまり、常識や世間体に囚われ過ぎず、できるだけ合理的な思考で考え、環境を最適化するということ。一言でまとめるとこんなところ。結構、共感できることが多い一方、これはその人の性格や人間性によるところが大きい。特に真面目過ぎる人間や同質化を好むに人間には難しい。それに出過ぎた杭は打たれないと言うが、出た杭になるのにも普通の人にとっては勇気がいる。しかし、「もう少し気楽に考えて生きようぜ」というメッセージとも解釈でき、ちょっと真面目過ぎて行き詰っている人には結構刺さると思う。

人生頓智と誰かが言っていたが、私も結構そんな感じで生きており、人生を満足させるのには、目の前に起きている事象をどう解釈するかが重要だと考えている。なので、雨が降ったら雨音を楽しむし、猛暑であればサウナだと思って外に出るし、雪が降れば筋トレだと思って雪搔きをする。自分が不幸だと思ってももっと不幸な人間なら世の中ごまんといる。そうやって考えていけば自分が結構幸せな人間であることに気づく。事象は変えられなくても解釈は頭の中で簡単に変えられるので便利だ。まぁ、この手の本は読んだところで自分自身の思考を変えなければ意味がないのだが、頓智を学ぶのだと思って読むと面白い。

1%の努力

経済ってそういうことだったのか会議

著者:佐藤雅彦、竹中平蔵

おすすめ度:★★★★★

映像作家の佐藤雅彦さんと元財務大臣の竹中平蔵さんの共著。この著書は2000年頃にお二方が経済に関して対談した際の内容が基になっている。2000年頃なんてかなり昔の話だがそういった本を読んでみるのも面白い、と思い読んでみた。まぁ、昔とはいえ、経済の本質は変わっておらず、今読んでも勉強になる。経貨幣とは何か、という基礎的なことから税金、投資、労働、起業についてやアメリカ経済の強さ、アジア圏の経済といった国際的なテーマについて書かれている。経済に関して見識のない佐藤さんが一般人目線で竹中さんに質問していく対話形式の著書なので読みやすい。

特にアメリカに対する論評は面白かった。アメリカには常にフロンティアが存在し、それがアメリカ経済を強くしたということであるが、これは19世紀末でいう西部の白人地域の開拓時代を始め、20世紀の宇宙開発、21世紀のIT革命のように、常にインセンティブと競争を伴う広大なフロンティアがあるのがアメリカだということ。現時点においても変わらずAIや核融合などの新たなエネルギー分野に対してアメリカは先導しておりアメリカ経済は強い。そして、ドゥーファクトで先に実行し、既成事実を作ることでそれをルールにしてしまうこのスピード感もアメリカの強さであるという。確かに、日本では常に規制が付きまとい、何か新しいことを始めるにしても規制の緩和から始まる。ライドシェアでさえなかなか進まない。外交力についても、アメリカは合衆国であることから、州に高い権限と独立性を持ち、州同士による競争と話し合いが活発で、国内に外交要素があることがアメリカの外交力が高い要因の1つだということ。確かにな、と思った。日本でも道州制について語られることがちょくちょくある。外交という点でなくとも各地域独自の課題解決と発展をするには道州制がいいのでは、と個人的に思う(浅慮ではあるが)のだがあまり議題には上がらない。まぁ、何でもかんでもアメリカの真似をすればいいというわけでもないが。

アジア圏についても書かれている。アジア独特の文化と発展や20世紀末におけるアジア経済危機について書かれており、これも結構読んでいて面白かった。他の経済についての議論は、基本的に経済の理屈なので他の経済本の内容と本質は変わらないが、対話形式で口語なのと竹中さんの説明がわかりやすいので理解しやすい。古本だと100円ちょっとくらいで買えるのでコスパは良いし、文庫本でスラスラっと読めるのでタイパも良いと思う。

経済ってそういうことだったのか会議

記事を読んでいただきありがとうございました。

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